キミはいない。
澄んだ空気に青い空。
雲一つない、快晴。
わたしの新しいスタートにはとても相応しい天気。
今日わたしは、隣町からこの町に移り住むのだ。
高校二年生の生活にやっと馴れてきた。
そう思った矢先の転校。
仲の良かった友達とは泣く泣く別れを告げた。
「ゆき、もうすぐ着くよ。」
お母さんの言葉に小さく心臓が跳ねた。
「窓を開けてごらん。」
お父さんがそう言った。
わたしは言われた通り窓を開ける。
潮の香りがした。
波の引き寄せる音。
カモメも鳴いている。
ここが新しく住む町。
これから生きていく場所。