キミはいない。
「ほら、見えてきたぞ…!」
お父さんの上擦った声に自然と高陽する。
少し気持ちを落ち着かせて、窓から顔を出した。
「こら、危ないでしょ!」
お母さんに注意をされたけど今はそれどころじゃなかった。
視界に広がった光景に、
目を奪われていた…
「すごい…すごいよ!」
静かに広がる草むら。
周りには住宅地なんか見当たらない。
二階建ての白を基調とした家だった。
そして、家の目の前に広がる砂浜と穏やかな海。
私は思わずため息をもらした。