キミはいない。
ふと屋敷に視線を戻すと、奥の方に人影が見えた。
(…近所の人…?)
「ゆき、荷物を運ぶの手伝ってくれる?」
「ちょっと待ってて。すぐ戻るから!!」
「あ、ゆき!!」
わたしは無意識に走っていた。
近付くに連れて、段々と人影がはっきりしてくる。
自分と同い年くらいの男の子。
制服を身に纏っている。
「あれは……」
相手と4,5m程距離を置き、ゆっくりと停止する。
とりあえず相手は自分に気付いていない様子。
よくよく見ると、墓が立てられている。
男の子は墓の前に立っていた。