キミはいない。


後ろ姿だから表情は見えない。

泣いているのか、悲しんでいるのか、それとも…


ただ、一つ分かるのはお墓を見下ろしているということ。



声をかけにくかった。
いつもの自分なら声をかけてみるハズ。

だけど、自分の中で何かがそれを阻んでいる。


わたしはここにきて声をかけることを躊躇った。


(そっとしておこう…)


そう決めて両親のもとへ帰ろうとした。





しかし、それは阻まれた。



肩を掴まれている。
優しい手つきだけど、離そうという気はないらしい。

誰なのかは分かっていた。
自分の肩を背後から掴める人はここに一人しかいない。







墓前の…男の子―…



< 6 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop