キミはいない。
後ろ姿だから表情は見えない。
泣いているのか、悲しんでいるのか、それとも…
ただ、一つ分かるのはお墓を見下ろしているということ。
声をかけにくかった。
いつもの自分なら声をかけてみるハズ。
だけど、自分の中で何かがそれを阻んでいる。
わたしはここにきて声をかけることを躊躇った。
(そっとしておこう…)
そう決めて両親のもとへ帰ろうとした。
しかし、それは阻まれた。
肩を掴まれている。
優しい手つきだけど、離そうという気はないらしい。
誰なのかは分かっていた。
自分の肩を背後から掴める人はここに一人しかいない。
墓前の…男の子―…