ドキドキパニック
しばらく話ながら食べていると、



『そういえば、見合い…どうなったの?』



出た…この話題。
出ないことを祈ってたのに!!



「まだ…何とも言えません。連絡先は一応交換したんですけど…」



半分、無理矢理ね。
ていうか、あたし何でこんなこと言ってんだろ?



『へぇ…そう。彼氏は良いの?』



「へっ!?」



か、彼氏!?
あたし彼氏何ていたっけ?確か…いや、絶対…



「あの、あたし彼氏いませんよ?」



ていうか、彼氏いたらお見合いとかしちゃダメでしょ!?


『えっ?そうなの?』



そうなの?って…


そうですけど…



「何で?」



『いや……前に瀬野さんが男の車から出てきたの見たから…』


男の車…?
あたし、車なんていつ乗った?


「それ、いつですか?」



『確か…俺が本社に初出勤した日かな。』



黒崎課長が初出勤した日って…



あっ!!家に帰った日だ。
じゃぁ男の車って…



「それ…あたしの兄です。」



『お兄さん?…そっか…』


黒崎課長は考え込んでしまった。



………?




『じゃぁ、彼氏はいないんだね?』



「…はい、いませんよ?」


どうしたんだろ?
あたしはグラスに残っているお酒を飲んだ。









『じゃぁ、遠慮しないよ。』





そんな課長の声なんて、全く聞こえてなかった。







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