ドキドキパニック
3-3
「あのっ…仕事とは全く関係ないんですけど…」
『うん…いいよ?何かな?』
黒崎課長はまっすぐあたしを見つめてくる。
うぅ…言いにくい
あたしは小さい声で言った。
「あの…ある人を見ると…胸が締め付けられるんです。これ、何ですか?」
『…他には?』
「へ?」
『その…ある人を見て、他には何を思う?』
黒崎課長を見て…
あたしは…
「凄く…暖かい気持ちになります。その人を見るだけで幸せになれるんです。話せるだけで…目が合うだけで胸が…きゅーってなって…でも同時に悲しくもなるんです。」
『それはどうして?』
「…あの人とあたしでは違いすぎるから。あの人は仕事もその他も全部完璧で格好良くて、それに加えてあたしは平凡か…それ以下の冴えないただの同じ会社の女で。…悲しくなっちゃうんです。何であの人はあたしなんかに話しかけてくれるの?ご飯に誘ってくれたの?あの人の…声や…笑顔が…忘れられなくて…」
あたしはいつの間にか涙を流していた。
その時…