Clever LoveStory
少し歩いて、駅へと向かい電車に乗った。
ちょっと混んでいる電車内。みのりを壁際に、ガードするように立つ。
周りから見れば普通のカップルに見えるんだろうな。
でも本当は、バンドのボーカルとファンの子。
恋人でもない、ただの友達だ。

そう、友達。
再確認したら、少しへこんでしまった。
俺の気持ちとは裏腹に、窓の外は早送りみたいに景色が飛んで行き、電車内に詰まっていた人ももうほとんどいなくなっていた。

「あ、海が見えるよ!」

みのりがいっぱいの笑顔を向けながら、指をさす。
みなもに太陽の光が反射してキラキラキラキラ。
なんだか幸せな気持ちになってみのりを見ると、みのりも俺を見て微笑んだ。
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