Clever LoveStory
有紗先輩は、案外早く見つかった。
教室へ向かうのか、一人で階段を上がっているところだった。

「有紗先輩!」
声をかけたのは登吾。

「あ、登吾くん、新くん。」
「ちょっと今いいっすか?」
「うん、どしたの?」

そう言うと階段を下りてきてくれた。
つんっと登吾が俺をひじでつつく。

「すいません、いきなり。ちょっと聞きたいことがあって・・・」
「なぁに?」
「あの、有紗先輩って詠二先輩のことまだ好きだったりしますか?」
「・・詠二に頼まれたでしょ。」
「?! や、あの~・・」
「やっぱり。・・詠二のことは好きだけど。私が全部悪いから。もう付き合うことは出来ない、かな。」

少し伏し目がちにそう言うと「それじゃ」と笑顔を見せて有紗先輩は階段を上がって行った。
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