星降る夜
運動部のいない放課後というのは、なんて静かなんだろう。
高校総体の地区予選が始まり、いつもならグラウンドから盛大に聞こえる野球部や陸上部の掛け声がない。
夕日の差し込む図書館が好きだ。
まるで別世界に入り込んだような静寂。
人影はまばらにあるのに、みんながみんな、まるで誰もいないかのようにすごしている。
めぼしい本を何冊か抱えて、空いていた個人スペースに入り込む。
ぱらぱらとページをめくる。
古びた分厚い本の、哀しい童話。
昔、絵本で見た物語は今も私の中に蘇る。
難解な日本語を繰り返し読んでみる。