星降る夜
「中野さん、だろ?」
腰をおろした私にハルは言った。
ハルに名前を覚えられていたのは驚いたけど、そういえば、何を隠そう私と彼はクラスメートなのだ。
一度見たもの、聞いたものはすべて覚えてしまう、なんて噂がたっている彼の事だ。クラスメートの顔と名前なんて覚えていて当たり前なのかもしれない。
「そうだよ。よく知ってるね」
「そりゃあな。クラスメートだし、名前ぐらいは」
ハルは笑った。
「それに中野さん、なんか不思議だし」
「不思議?」
クラスで浮く事もなく平凡にいた私が不思議?
初めて言われた一言だった。