星降る夜



「・・・なに、言ってるの?」


沈黙の後に絞りだせたのは、やけに頼りない一言だった。

ハルは笑ったままだ。

緩めたネクタイとシャツの中に、シルバーのネックレスが揺れた。


「離して」

「嫌だ、って言ったら?」


ハルは手を離そうとしない。

私が少し力を込めると、その手はするりと離れた。

私は立ち上がった。

無言のままスカートの埃をはたいていると、遠くで屋上のドアが開く音がした。
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