【短編】ウラハラ
ドライブ
ようやく熱が治まりひんやりとした風に身体がフルッと震えた時、
「柏木さん!」
びっくりして叫んでしまった。
「さっきの交差点右ですよ?!」
そんな私の反応も気にならない様子で柏木さんは運転を続けている。
車通りの少なくなった道で私たちを乗せた車は、スピードに乗ってどんどん会社から遠ざかっていく。
「この時間だとまだ誰か残ってるかもしれないだろ?」
言われて私は時計に視線を落とした。
10時前。
確かに、まだ部長たちはいる時間だ。