【短編】ウラハラ
静かな夜の大地に私の声が響いた。
何?何を言ってるのこの人は。
「じょ、冗談ですよね?」
引き攣った笑いを浮かべて私は聞いた。
「だから、俺はウソは言いません」
紳士だと思った柏木さんの笑顔が今は悪魔のように見える。
私は呆然と柏木さんを見つめた。
「じゃ、5分くらい待つから」
…5分、って!!!
柏木さんはさっさと車に乗り込んだ。
また辺りは静寂に包まれる。
混乱する私を冷たい夜風が包み込んだ。