Milky Way
高校の卒業式なんて味気ないもの。
涙なんて一筋も流れもしない。
中には泣いている人も居たけれど、ほとんどの人が淡々と学校を後にした。
私はそれでも後を引いていた方なのかな。
きっと皆とは違う意味で。
卒業式の後ひとりで向かった。
あの場所。
―ガタン
鉄のドアを思いっきり開けると外の寒い空気を一斉に感じて身震いした。
フェンスへと近付き、そこから下を見下ろすとまだ卒業生たちが何人も残っている。
私はなぜだかここへ来たくなって…
寒いのなんて知っていたけれど、シンの面影に触れたかったのかもしれないね。
目を瞑ると真っ暗な瞼の裏に映る一年前の光景。
私はシンの最後の制服姿を見る為に休みなのにここへ来たの。
気まずい関係になってしまっていたから面と向かって会う勇気はなかったけれど、遠くからだったら許されるかなと思って屋上へと上ったんだよね。
卒業式が終わって人が出てくると私は必死でシンを探したのに見つからなくて、泣きそうになって…
そしたら後ろのドアから息を切らしたシンが入ってきた。
私がシンのことを見つけに来たはずのに、私よりも早くシンは私のことを見つけてくれたよね。
どうして体育館から出て屋上の方を見上げたの?
どうして私の姿に気が付いてくれたの?
どうして他の友達よりも私を優先してくれたの?
「…っ!」
開かれた瞼。
目を開けるとシンはいなかった。
目の前に広がる光景はさっきまでのもの。
ここに彼女の姿かたちがないことなど分かっている。
だけど心にさえも冷たい風が吹き抜けているようで震える程に寒かった。
涙なんて一筋も流れもしない。
中には泣いている人も居たけれど、ほとんどの人が淡々と学校を後にした。
私はそれでも後を引いていた方なのかな。
きっと皆とは違う意味で。
卒業式の後ひとりで向かった。
あの場所。
―ガタン
鉄のドアを思いっきり開けると外の寒い空気を一斉に感じて身震いした。
フェンスへと近付き、そこから下を見下ろすとまだ卒業生たちが何人も残っている。
私はなぜだかここへ来たくなって…
寒いのなんて知っていたけれど、シンの面影に触れたかったのかもしれないね。
目を瞑ると真っ暗な瞼の裏に映る一年前の光景。
私はシンの最後の制服姿を見る為に休みなのにここへ来たの。
気まずい関係になってしまっていたから面と向かって会う勇気はなかったけれど、遠くからだったら許されるかなと思って屋上へと上ったんだよね。
卒業式が終わって人が出てくると私は必死でシンを探したのに見つからなくて、泣きそうになって…
そしたら後ろのドアから息を切らしたシンが入ってきた。
私がシンのことを見つけに来たはずのに、私よりも早くシンは私のことを見つけてくれたよね。
どうして体育館から出て屋上の方を見上げたの?
どうして私の姿に気が付いてくれたの?
どうして他の友達よりも私を優先してくれたの?
「…っ!」
開かれた瞼。
目を開けるとシンはいなかった。
目の前に広がる光景はさっきまでのもの。
ここに彼女の姿かたちがないことなど分かっている。
だけど心にさえも冷たい風が吹き抜けているようで震える程に寒かった。