Milky Way
(シン…来て。)


そう願わずにはいられなかった。

満天の星空とあの公園。

雨上がりの匂い。

それとこのベンチ。

ここに足りないもの…シンだけだよ。



追いかけても追いかけても掴めないあなたの姿。

あんなにも近くに居たのに今はこんなにも遠い。

遠くて遠くて…あの星のよう。



本来だったらそうだったかもしれないね。

あなたは私なんかが手の届くような人ではなかったんだよ。

だけど一度触れてしまったからもう引き返せなくなったの。

だけど一度離してしまったらもう届かない?

どんどん大きくなっていく私の気持ちはどうすればいい?


あなたも今この星空を見ているのかな。

あなたへの私の大切な想いをこの星空に放てば、届くのかな。

…ううん、届かなくてもいい。

それは私がきちんと言葉にして言いたいから。

もしあなたが今私と同じものを見ているのなら、その事実が私を幸せにしてくれる。

あなたが空を見上げてる。

そう信じたい。


だからもう少し。

もう少しだけ空を見上げて泣いていようと思う。

寂しいけれど幸せだよ。


あなたと同じ世界を見ている今だけは…

私の心が温かい。

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