Milky Way
穏やかな時間を過ごした。

どこにも行かずに私の部屋で笑い合う。

だけど次第に近付いていく別れの時刻。

外はまだ明るい。

私たちは家を出て、駅に向かっていつもよりもゆっくりと歩みを進める。

手は…繋がなかった。


もう少しで触れられるのに外に出ると背徳感に襲われてどうしてか出来ないの。

シンも同じなの?

シンから手を握ってくれることをどこか期待しているのかもしれない。

彼女から手を伸ばしてくれたら私は繋いだ手を振り払ったりなどしないのに。



私たちの恋は決して間違っていないとは言えないのかもしれない。

人間の道徳に反しているのかもしれない。

だけど私は選んだはずなのだから負けてはいけないのに…


意気地なしの私はその悔しさをどこにもぶつけることなど出来ずに両手を爪が手のひらに食い込む程、握り締めていた。
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