Milky Way
【女同士で手繋いでるし。】

【本当にいるんだねー】

【無いでしょ。】

【気持ち悪い。】

【あっちが女役?】

【女同士ってどうやってヤんの?】

【珍しいもん見た。】




そちらの方は恐くて見ることなど出来ない。

耳から入ってくる嫌悪感で占められた会話。

目の前に繰り広げられている世界が敵に思えた。

色を無くしたモノクロの世界が回る。

全ての人に責められている。



(やめて…お願い。やめて…っ!やめてやめてやめてっ!!)



私はその瞬間、シンと繋いでいた手を勢いよく離して駆け出した。


この場から早く逃げなくてはという思いが強く心を占めてしまって全力で駆けた。


そして誰もいない林の中へと辿り着いて一本の木に手を付いて寄りかかる。


「っ!」


途端に呼吸が出来なくなった。


「はぁはぁ、っ!はぁはぁ…」



―バサッ


立ってなどいられなくなってその場へと倒れこむ。

逃げることに無我夢中で、シンを置いてきてしまったから…今頃私のことを探してるかもしれない。

苦しい。



「はぁ、っはぁ…たす…て、はぁはぁ」



涙が止まらない。

加えて呼吸が上手く出来ない。




【気持ち悪い】【気持ち悪い】【気持ち悪い】




頭の中を繰り返す言葉達。



(やめてよ…っ)



やっとのことで耳を塞いでみたけれど頭を回る言葉が消えることなどなかった。


苦しくて意識が無くなりそう。

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