Milky Way
しばらくの沈黙。

(どうしよう。)


「琴。」

私を呼ぶ声と同時に私の肩から温もりが消えた。

ゆっくりとシンの方を見ると私の瞳を捉える彼女の瞳。


「あれ!」


シンが空に顔を向け先程の私と同じように空へと指を指す。


「え!?」

「あれ!ベガのずぅーっと右下!」


シンの指差す先にはベガのように光り輝いてはいないものの、確かに小さな星があった。


「うん。あれは?」


私は不思議そうに彼女に問う。


「あれはさそり座。」

「そうなんだ!シン、よく分かったね!」


シンに笑顔が戻ったから私は安心した。


「琴、二十八宿って知ってる?」

「ううん、知らない。」


耳慣れない単語に素直に答える。


「天文学のひとつでね、古代中国で使われていた暦のひとつなんだけど。昔の人が月と星の位置を比べながら観測してたら、月が星座に対して28日弱くらいの周期で移動していることが分かったらしいの。」

「うん。」


シンの論理的な話をぼんやりと聞く。

難しい話は頭に入りにくいのだから仕方がない。
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