Milky Way
「だけどさそり座だったら天の川になんて邪魔されないから…琴座までは少し遠いけどいつだって会えるよ。」


「…っ。」


さっきよりもずっとずっと穏やかで優しいシンの口調。

涙腺を刺激する。

そんな私に気が付いたのかシンは私の右手を取ると指を絡めた。

それに従って彼女の方を向くと眉を寄せていて…それでも優しい顔で私を見ていてくれた。


「あたし、いつも琴の傍に居たい。」

「…うん。」

「わし座にはなれなかったけど、いつだって琴座に逢いにいくから。年に何度だって逢いに行くから!…だから…っ、それじゃ、ダメ…かな?」


泣きそうなシン。

涙を堪えているのが分かるよ。


「ダメじゃない…ダメじゃないよっ!」


その刹那、私の瞳からは耐えきれなくなった涙が零れ落ちた。

そしてそのままシンに抱き寄せられた。

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