Milky Way
「その格好じゃ家に帰れないでしょ?うちにおいで。」


私が落ち着きを取り戻した時、体を離した彼女がそう言った。

雨は気がつくと上がっていたけれどすでに水浸しの私たち。

初対面の相手の家になんてとても申し訳ない気持ちでいっぱいだったけれど、他の意味でも本当にありがたくもあったの。


でもやっぱり…

「私…帰るから…」

「うるさいーもう決めたから!うちに連れてく!」

私の言葉を遮った割りに真っ直ぐに私の目を見て、ちょっとふざけながら目の前の彼女は私の手を引いた。



きっと彼女の目に映ったこの時の私は『帰りたくない』って瞳で訴えていたのかもしれない。


彼女はとても敏感な人だったもの。

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