Milky Way
今日はあの女が私の部屋へと来ることはなかった。

夕方見た光景が目に焼きついている。

機嫌が良いのか。
パパ以外の男性に抱かれて。
それともあの女の愛してるのはパパではなくあの男なのか。

私には何も分からない。

ただあの男のお陰で部屋に来ないのならば、彼に感謝したいとも思ってしまう私の心。




古典の宿題を部屋でやっていた。


♪―♪

【着信 羽島心】

(あ、シンだ)

夜も遅くシンから携帯に電話が掛かってきた。

私は即座に通話ボタンを押す。


「もしもし」

『あ、琴起きてた?』

「うん、宿題やってたー」

『おお、偉いじゃん!』

シンの弾んだ声が聞こえる。

(安心する)

「どうしたの?」

『あ、今日一緒に帰れなかったからねー』

「それだけ?」

『それだけ♪』

「うふふ」

『何笑ってんのー?』

電話の向こうのシンは拗ねたように言う。

「別にーシン、可愛いなって思ってね♪」

『いいじゃん、別に。夜に琴と話したくなることもあるのっ!』

(拗ねてる、拗ねてる)

私は心の中で笑った。
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