Milky Way
近付いてくるのが分かる。

速い足音。


「シン、ごめん!切るね」

『え…』

戸惑う彼女の声を最後に画面も見ずに慌てて震える手で携帯電話のボタンを押してベッドへと投げた。


―バンッ


「あんた今誰と話してたの?」

声が漏れていたらしい。
憤慨した表情で私を睨み付ける。

そして彼女の手には木製のバッド。
陸斗の持ち物なはず。


「だ、だれとも話してないよ」

恐怖で体が震えた。
今日の私はあれで殴られるのかと。

【死】という言葉が頭を過ぎる。

背筋が凍る思いがした。


「アンタさぁ…昼間見たでしょ?」

(え…気付いてたの…!?)

「……何を?」

白を切ろうとする。
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