Milky Way
ママの言ノ葉
ママが生きていた頃。

消毒臭いあの真っ白な病室で私はママから沢山の話を聞いた。

だけどママの死から十年近く経とうとしている今、その数々の言葉が知らないうちに消えていってしまったの。

もう聞くことの出来ない言葉たち。

どうして私はメモしておかなかったのだろう。

永遠に一緒にいることなど出来ないと分かっていたならば私は何か出来たのかな。

いや、きっと出来なかったのだろう。


私はママを失った記憶から後悔を生かすことなど出来なかったから。

いつまでも一緒にいられると思っていたよ。

変化していくものに目を瞑って、不変だけを馬鹿みたいに信じていたの。


どうか愚かな私を笑ってください。

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