Milky Way
数日後の夜は酷かった。

あの女の虫の居所が頗る悪かったのだろう。


珍しく陸斗があの女に反発しているところを見た。

小さいながらも陸斗は自我がちゃんと芽生え始めているのだろうか。

あの女が陸斗の反応に戸惑っている姿を見た私は少しだけ心の中でガッツボーズをしつつも、私に向かう怒りの矛先を想像すると穏やかな気持ちでなんかいられなかった。

パパの外泊も増えていたからあの女も相当のストレスが溜まってきているはず。

今ある現実が嫌ならどうしてあの女は自ら変えようとはしないのだろうか。


(あの女の心なんて最初から分からないけれど、もっと楽な生き方もあるはず…私なんかに当たらなくてももっと清々しい生き方だってあるはずなのに。)


勿体ない気がしてならなかった。

(分からない。私…分からないことだらけ。)

そんな風に思う。



その日、虫の居所の悪かったあの女が私にしたこと。

いつものように私を抑え付けてから持っていたやかんのお湯を私の脚のももへと注いだ。


あまりの熱さで避けると追いかけて床に押し付けられた。
歯を食いしばると声も出なかった。


【ママの知ってる琴は強い子だもの】


そう私は強い子。

体の痛みなんて全然大丈夫。

< 85 / 236 >

この作品をシェア

pagetop