視線の権利
合宿!
また来たくなったらお友達価格にするね、とエミコさんの笑顔に見送られ私たちは再びアキノの車へ。
「はーびっくり」
私はまだ助手席で驚いてばかり。
「おナカすいてない?」
と、アキノ。
「もう11時回ってるよ。どこも閉まっ……」
「食べてけって言ってんのよ」
アキノ飯!(私が命名)
去年のオーナー宅での忘年会でキッチンでも女王の威力を発揮したアキノのゴハン!
急に空腹を感じたり。して。
「あ、でもアキノって同棲してるんでしょう? 悪いよ~」
「いきなり出張いきやがって。しばらく帰らないわ。食材腐るってーの!」
ぐいんっ! とアキノは乱暴にカーブでハンドルを切った。
「ひゃっ!」
「アタシ、お肉食べられないからしばらくよろしくね!」
あ、あのー。
「服と化粧品貸すから」
「え、でもぉ、アキノってタッパあるし細いし」
「なんとかなるでしょ! サラダはエビのカクテル! アレルギーは?」
「それはだいじょぶ……」
これは誘拐かな?
招待かな?
アキノの服、着られないよね。明日は今日の着て、お金払ってお肉もらって出社、かな?
その日から
嵐の一週間、の始まりだと
わかる私ではなかった。