視線の権利

会社の裏手には既にワゴン車が回されていた。


ハンガーラックや先程の大量の荷物を若い男性派遣社員が運び込む。


ワゴンの運転席には主任がいた。


「あなたの運転うまいからね~」

オーナーに誉められても主任が何故だか

ビクビクしてる。



こっちは針のムシロなんですけど~!

なんで主任~!


「そういえばゲームのポスター納期は来月で良かったわよね?」


オーナーに問われ
ちらっと上目遣いに後部座席を見る主任。

30歳独身。やや生え際が

もうあぶない。

つい手を合わせたくなる。


「は、はい。来月ですが、その、進行が遅れてまして……」

「大丈夫でしょう? アナタの技術ならケイナちゃんにわかりやすく教えてる事でしょうし」



全然


教えてくれないです。

「アナタみたいな紳士な男性なら、ケイナちゃんも安心ね♪」

と、オーナー。



脅しだ


絶対脅しだー!



オーナーこわいよ!


そして合図があり



ワゴンが走り出した。
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