視線の権利
どこへ行くんだろう?
「オーナー、アタシ、この日が楽しみで! ミサコさんの陰口も気にならないくらいでした!」
「あーミサコはね。誰も聴いてないから。でも戦争する必要もないから」
アキノは一瞬黙って、ハイと頷いた。
「ケイナちゃん、通販『キラキラ☆リリス』はね、今度路面店を出すの」
「はあ……」
間抜けな返事しかできない。
『キラキラ☆リリス』はサンプルをパラパラ読んだ位だし。
「でね、ファッション雑誌も出版不況。タイアップする事になって……」
車が大きな灰色の四角い建物の前に
それはもう
丁寧に
停まった。