視線の権利
雑誌の撮影の人々、『キラキラ☆リリス』の編集らしき人々やカメラマンさんたちが忙しく動き回る中。
堂々として荷物を横に立つオーナーに
もみ手をせんばかりの40半ば過ぎ位? の小柄な男性が近づいてきた。
「いやー助かります! モデルのスケジュールが合わなくて。かと言ってウチの事務所も弱小で」
「いいんですよ。持ちつ持たれつですもの」
必殺!
オーナーの微笑みに
一瞬凍るモデルクラブの社長さんらしき人。
ゲーム部門のイメージキャラクターもここを使うんだろうなあ。
こちらの意向が強く通せるってことになる。
ご愁傷様。
「ご指定どおりの進行で、もうブツ撮りは終わって、他のモデル撮影も昨日中に終えました。誌面でも特集を組んで下さるとか……」
きっと誌面デザインもウチでしょうねぇ。
「今日は『ティーン系からお姉さん系へ』のモデルがインフルエンザで。2月ですし。感染を防ぐ為とはいえ大変申し訳なく……」
「大丈夫ですよ」
オーナーがゆっくりと言い放った。
「連れてきました」
トンっとアキノに背中を押され転びそうになった私。
モデルクラブの人と私は真っ正面から顔を合わせた。
えええええー!
きっと
お互い心の叫びは同じだったに違いない。