視線の権利

度胸!

モデルクラブの人の発言は意外なものだった。



「高校生さんですか? 保護者の方の承諾書は……」


プッと吹き出したアキノを軽く肘で小突いてオーナーがつらっと言う。


「ウチの契約社員で成人してますが?」

「ああっ! 失礼しました! ではメイクを!」


「わ、私、無理ですよ! モデル体型じゃないし、美人じゃないし!」


混乱する私の頭をオーナーがイイコイイコするように撫でる。


「ケイナちゃん、モデルのスッピンなんてねーイロイロよ。通販で服を買うコたちは自分が普段着られる着たいモノをチョイスする。じゃなきゃ売れないでしょ? フツーでいいのよ? 自然体で頑張ってねー。モデル代も出てオイシイ『仕事』よ」



誉められたのか違うのか。『仕事』が強調されてたなあ。


巨大なスタジオの一角にはちゃんとメイクコーナーと、デパートにあるみたいな更衣室? がある。


笑顔をたたえて待つ女性メイクさん達の元へ私とアキノは


足を踏み出した。


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