視線の権利
メイクさんは20代後半くらいかな?
シンプルながらトータルでカッコいいお姉さん。
保健室にあるみたいな丸めた脱脂綿に天然水スプレーを吹き付け、顔のチリや埃をぐるりと取る。
そしてオーナーから言われていたのか、漢方薬たっぷりのあの化粧水と乳液を柔らかいコットンで丁寧につけてくれた。
保湿カバー化粧水を塗られながら
「最近寝不足?」
といきなり言われてビクッとした。
「ご、ごめんなさ、い」
メイクさんはクスッと笑うと続けた。
「ヘアメイクやってるとね、前日の生活まで解っちゃうの」
「すごい……」
「あなたは肌が弱そうだからなるべくファンデより偏光パウダーで可愛くしよう」
「よ、よ、よろしくお願いします」
ハリウッドミラーだっけ?
大きな鏡の周りをまるい大きな電球が囲んでいる。
髪がさかさかと結われると、メイク。
すごい! 高級ブランドや高そうなブラシでいっぱいのメイク道具が、大きな黒い箱にいっぱい!
アレルギーは怖かったけど、粒子の細かいパウダーは肌に心地良かった。
メイクが終わるとスタイリストさんとオーナーが(怖い位楽しそうに)ニコニコ顔で
「これに着替えてね」
と服と靴下と靴を前にずいっと出した。
え。ミニスカ?
下にレギンスあわせても丈が!
「オシゴト」
オーナー楽しそう。
みんな忙しく動き回ってるけど
こんなたくさんの人の前で
コスプレする気分
だって
20代半ばに思えないよね
この格好って