視線の権利
翌日は祝日。
お休みだからいっぱい寝た。
ともいえなかった。
サンプル品の靴はちょっと小さかったし、アキノは合コン用の服を買いに行く!
って鼻息荒く言うし。
自宅アパートの郵便物も気になったから、デパートが開く前にアキノと女子ふたり出動!
私は新聞をとらずに会社で読んでいたし、郵便物もチラシが2枚くらいとダイレクトメールハガキが一通で安心した。
郵便受けにチラシがいっぱいだと空き巣が怖いし。って!
アキノぉぉぉ!
空き巣よりタチが悪い奴が~。
アキノってばたたんでおいた要らない紙袋に、私のタンスの服やら……ボロい下着やらをばんばん投げ込んで
ゴミ袋に!
「なにやってんのぉ! 貴重なブランドものもあるのに!」
「このブランド、ケイナに似合わない。どうせ貰いモンでしょ? 前のオトコの。あ、この男物もそいつのか」
私は怒ることもなく
ただ呆然と突っ立ってその作業を見つめていた。
「他人が見ればわかるわよ。ケイナ、悪いことはいわない」
「な、なに?」
「奴の痕跡を、ひとつも残さないで!」
何かが
わからないけど
何かが私をつき動かした。
二人で彼から貰ったもの、綻びのひどい下着、全てを分別してゴミ袋に入れてくくり、アキノの車のトランクに積んだ。
「アキノ、どこのデパートに行く?
昨日、即金でお小遣い貰ったし。パーッと使いたいな」
要るものいっぱいあるじゃない?
お金は貸さないわよ。
と、アキノは毒づいた。