視線の権利
間奏
わたしだって、サイテーだ。
ゲイだってバイセクシャルだって、女の子になりたい男の子も男の子になりたい女の子だって。
いい人はいっぱいいると思う。
一目惚れしたトオルはバイセクシャル宣言はしたけど、東京で女の子と遊びまくって。田舎に帰ると、地元の名士の家の息子の彼は遊べないからって。
本当のゲイじゃなかった。
私たちは素直になれなくて意地の張り合いで、恋人にはなれなかった。
私がマサシと付き合いだした時、トオルは動揺していた。
結局、私も。
本当に心がゲイのマサシと同じで。
トオルに入り込めなくて傷の舐めあいの付き合いで。
「結婚を前提に」とか言って、マサシはトオルと仲のいい私を欲しかっただけなんだ。
私はそれを受け入れて……。
留年したマサシは有名大学を中退してバーテンダーになった。
でもそれは彼が『アニキ』と慕う男性に新しい恋をして。
バーの常連で『アニキ』の妹と浮気してくっついたんだ。
すれ違いの生活の中、私はマサシのルームシェアの相手でしかなく愛されないのにいつしか好きだと
カン違いしていたのかもしれないし、好きになっていたのかもしれない。
アキノは好きな人にしか体をさらけ出せない。
誠実。
忘れてはいけない罪が、しっぺ返しをしてきたの?