[妖短]空の境界線を越えて
開いたページに置かれた指の先には、
松の陰から現れた、首の長い気味の悪いおっさんの絵。

「な、何よ。コレ」

「鳥山石燕って江戸時代の画家の描いた妖怪画」

気持ち悪がる私に、満面の笑顔を見せ。

「オレ、妖怪好きなんだー」

うっっわ!

何を好きかは、まぁ、人それぞれとして、
フツーそーゆー事他人に言わないでしょ!!

「で、この妖怪ねー」

まだ続けますか!!

「見越(みこし)っていうんだよ」

「ミコシ?」

あ!しまった。

五十嵐はニコッと(ニヤッとではなかったと思う)笑い。
「うん。石燕のには見越って書いてあるけど、
見越入道、見上げ入道、高坊主とか、
日本全国色々な名前で伝わってるよ」
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