[妖短]空の境界線を越えて
開いた目に、独特の模様の入った天井パネルと、そこから吊るされたカーテンレールが映る。

そして独特の臭い。

…保健室?


もう日が落ち始めたのか、横からのオレンジ色の光が部屋中を染め上げている。


「あ。気が付いた」
横から声がした。

そちらを見て、
「い。五十嵐?!」

パイプ椅子に文庫本片手に座っていたのは、まごうことなき五十嵐だった。


「養護教諭の先生は今ちょっと外しているから。そのまま寝ておいた方が良いかも」
五十嵐は手で私を制しながらそう言うと、本を片付け始めた。

「えっと、何でココに?」

「神山さん部活中に倒れたんだって。覚えてない?」

「なんとなくは…」

そうか、夢の前のは現実なのか。

「五十嵐は?」

「紙で指きって。
絆創膏を貰いに来たら留守番言い付かってね」
五十嵐はそう言いながらパイプ椅子も片付け始める。


あ。そうだ。あのこと聞かなきゃ。
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