[妖短]空の境界線を越えて
5.ひそみの庭
来てしまった。
五十嵐の残していったメモの住所には、
『五十嵐』の表札のある一件家が有った。
門も、奥に見える家も、古めとは言えいたって普通だが、
その間にある庭が、
何と言うか…、
その、
鬱蒼としている。
そこだけ今時なインターフォンを押すと、しばらくして年配の女性と思しき人が出た。
「あの、五十嵐…」
そこまで言って、下の名前を知らない事に思い当る。
「…くんの同級生で、神山と言います」
「ハイハイ。誠太郎さんからうかがってますよ」
インターフォンの女性は明るく応えた。
そうか、誠太郎って言うのか。
「今、鍵あけましたから、どうぞ」
声と同時に門からカチャリと音がした。
え?あれ?待って。
この中を…ひとりで行くの?
私は濃い緑が香るその庭を呆然と眺めた。
五十嵐の残していったメモの住所には、
『五十嵐』の表札のある一件家が有った。
門も、奥に見える家も、古めとは言えいたって普通だが、
その間にある庭が、
何と言うか…、
その、
鬱蒼としている。
そこだけ今時なインターフォンを押すと、しばらくして年配の女性と思しき人が出た。
「あの、五十嵐…」
そこまで言って、下の名前を知らない事に思い当る。
「…くんの同級生で、神山と言います」
「ハイハイ。誠太郎さんからうかがってますよ」
インターフォンの女性は明るく応えた。
そうか、誠太郎って言うのか。
「今、鍵あけましたから、どうぞ」
声と同時に門からカチャリと音がした。
え?あれ?待って。
この中を…ひとりで行くの?
私は濃い緑が香るその庭を呆然と眺めた。