[妖短]空の境界線を越えて
顔は、五十嵐だ。

声も、五十嵐だ。


五十嵐には違いない。


でも、
「五十嵐…だよね?」
「? そうだよ」


緑の中にすっと立つ白地に青い柄の着物姿。
いつもボサボサの髪は、ワックスか何かを付けて後ろに流している。

垢抜けないどころか、
何時の時代の人ですか!


「わかんないかと思って迎えに来た。
一度友達がそっち行っちゃって迷子になったから」

一般民家ですよね?!

五十嵐は私の横に来ると、紐付き石を指して、
「コレ 関守石って言って、進入禁止の印」

「何でそれが進入禁止なの?」

「飛び石の真ん中に石があったら踏めないでしょ?
紐が結んである石なら、人為的だし」

あぁ。
五十嵐ってば、家の環境でコウなんだな。
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