あめとてるてる坊主
【1】ふれふれ坊主

1)どきどき

 いつも1人で待つバス停前。

 “いつも”と違うのは、右手に持つお気に入りの傘と右隣。


 いつもと違う朝。

 いつもと違う鼓動の速さ。


 気づかれないように、こっそりと向けた視線の先に、地元の進学校の制服を着たメガネの男の子。


 少し眠たげな表情で、たたずむ彼の顔をおずおずと見る。


 見ていることに気づかれたらどうしよう。

 気づかれて、嫌な顔をされたらどうしよう。
< 1 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop