あめとてるてる坊主
「意外、と思った?」

「え!?あ、えっと……」

「あはは、いいよ。俺もそう思うから。でもこれでも結構いい線いってるんだよ」


 笑う彼に、私はドキドキした。

 こうして笑う彼に見つめられるのは初めてだ。


「今日は雨だから、体育館で自主練なんだけどね」


 ひとつ彼のことを知った。

 ふと持ち上げたかばんに、てるてる坊主がいた。

 にっこり笑うてるてる坊主。

 彼と私を結ぶ、共通点。

 たったそれだけの共通点。
< 108 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop