あめとてるてる坊主
「あのさ、晴ちゃん。話したいことがあって、時間ある?」


 嘘をつくことは簡単だった。

 けれど、そのまっすぐな目に、嘘はつけなかった。


 沙世ちゃんに手招きされ、その隣に行く。

 空から白い糸が降りている。

 まるで学校には私たち以外誰もいないんじゃないかってくらい、静かだ。


「話って、何?」


 のどが渇く。

 思わず窓枠を握りしめた。
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