あめとてるてる坊主
「あまちゃんのどこを好きになったの?」


 続けてきたその問いに、私は困った。

 うまく取り繕うとも思った。

 けれど、やっぱり嘘をつきたくなかった。

 私は自分の気持ちに自信を持ちたい。

 何も誤魔化す必要は何もない。


「わからない。気づいたら、好きだった……だから“どこ”って言われても、答えられない」


 雨の日限定でできた右隣。

 一年前の梅雨明け。

 あの日から寂しくてたまらなかった。

 だから、それから雨の日が来るのが嬉しくて、いつしか雨の日が待ち遠しくなっていた。

 彼にいてほしかった。

 好きになったきっかけなんてわからない。

 はっとしたときには好きだった。
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