あめとてるてる坊主
 2言目を口にしたら、私は泣きそうになった。


「あ……ごめん……ごめん、晴ちゃん」


 沙世ちゃんの謝る声が遠くに聞こえた。

 私は顔を上げられず、その言葉に何も返せない。


「晴ちゃん!」


 私は教室を飛び出した。

 沙世ちゃんと一緒にいたくなかった。

 泣いた顔を見られたくなった。

 
 くやしかった。

 なんだかすごく悔しかった。



 ひとしきり泣いた私が教室に戻ると、そこには開いた窓だけがあった。




(1)嘘と理由(完)
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