あめとてるてる坊主
「私、二人に言いたいことがあるんだ」


 いつになく真剣な顔をした沙世ちゃん。

 薄暗い教室で見るその顔は、別人にさえ見えた。

 そう、おとといと同じ顔だ。

 いやな予感に、私は身構えた。


「何よ?そんな改まって。最近様子がおかしかった原因でも話してくれるの?」


 里美ちゃんが安堵したような声音で問いかける。

 彼女は知らない。

 それがどんなにタブーなことなのか。

 心配していたから、それを言ってくれるってことは、多少は解決に向かったという証と受け取ったんだと思う。
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