あめとてるてる坊主
「んじゃ、行くね。また」


 彼が左足をペダルにかける。

 私は頷いた。


 顔を上げたら、目があった。

 きゅうって、胸が鳴った。


「また、遊びましょう……!み、みんなで!」


 思わず言っていた。

 自分からきっかけを作らなくちゃ。


「……そうだね!」


 嬉しそうに笑ってくれたと思う。

 私はそれだけで満足してしまった。

 ただ、その笑顔で十分だった。




(1)初めて、始めて。(完)
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