あめとてるてる坊主
 右隣に彼がいることが、急に嫌になった。

 恥ずかしくて顔があげられない。

 水たまりをかけられた無様な姿を見られたくなかった。

 なんで彼がいるんだと悪態をつきたくなった。

 恥ずかしくてみじめで、すごく悲しくて。


「――」


 はっと顔を上げる。

 土砂降りの雨の中、確かに聞こえた。

 彼のいる右隣から、声が聞こえた。
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