あめとてるてる坊主
 勉強道具をテーブルからどけて、代わりに広げたお菓子とジュース。

 それ以外は、学校で過ごすのと何も変わらない風景だ。


「恋した~い」


 そう沙世ちゃんが言ったのは、前の話題が途切れたときだった。


「いないんだよね~いい人」

「理想高いの?」

「違うよ。沙世の好きになった人らって、決してイケメンじゃないよね。雰囲気が優しそうな感じが多い」

「そう!里ちゃん!私のこと分かってる~さすが!」


 棒状のスナック菓子を里美ちゃんに向ける。


「カッコいいにこしたことはないけどね~」


 ユラユラ揺らすお菓子を、視線で追った。

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