あめとてるてる坊主
 3人で玄関をくぐる、いつもと違う朝。

 どんより重い空からシトシトと雨が降る。


「晴子が言ってた通りだね」

 紫陽花が雨粒を飾りにして咲いていた。

 紫陽花にも雨がよく似合う。

 見えてきたバス停。

 3人でバス停前に立つ。

 彼がくるまでもう少し。

 おしゃべりしながらも、頭の片隅に不安がよぎった。


 彼は優しい人だ。

 そういう雰囲気もまとっている。

 紗世ちゃんが好きになってしまったらどうしようか。

 そうなったら、私は言えなくなる。

 偽者笑顔貼り付けて、頑張れと言ってしまうかもしれない。

 先に言わなかったことに後悔した。

 こんな不安を抱くなら言っておけばよかった。
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