あめとてるてる坊主

2)君の左隣

 彼と会えるのは、雨の日限定だった。

 ここ一月、彼が当然のように右隣にいたから、私は錯覚してしまった。

 “いつも”いたわけではないのに。

 前まで、雨の日だけでも会えるだけで満足できていたのに、私は欲張りになってしまったみたいだ。


 右隣に誰もいない。

 私の右手は何も握っていない。

 頭上は清々しいほどの青色。


 梅雨が明けてしまった。




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