あめとてるてる坊主
 待ち合わせ場所でみんなと合流したのは夜6時。

 花火が上がるのは8時。

 彼と沙世ちゃんの友達もいい人で安心した。

 でも合流と同時に彼がまた遠くになってしまった。

 ほんの少し前まで隣にいた彼。

 特別な意味が彼になくても、私には特別だったから、すごくさびしくて。

 これからだというのに、私の気分は下がっていた。


「ねぇ、あまちゃん!金魚すくしたくない!?競争しよ~」

「いいな!負けないよ」


 私の前で沙世ちゃんと笑う彼の顔は、私に向ける笑顔とは違う満面の笑み。

 口調も軽やかで楽しそう。

 さっきまで私に気を使っていたんだろうと思うと、また悲しくて。

 駄目だと思うのに、私は泣きそうになっていた。
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