あめとてるてる坊主
 伏せていた目を上げた私が見たのは、いつもと違う顔をした沙世ちゃんだった。

 私は絶句した。

 沙世ちゃんの顔から、絶望見えたから。


「そうだったんだ……」


 沙世ちゃんが、笑った。


「晴子、沙世」


 私は振り返った。

 沙世ちゃんの顔を見ていられなかった。

 最悪なことが現実になってしまった。

 私はそれから目をそらしたかった。

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