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表では楽しさを求めて

苦しい部分を隠すように大笑いして

明るく過ごす




誰しもが

華やかな部分と影の部分を持ち合わせ

必死に藻掻いて取り払おうとする






2人同時にティッシュで鼻をかんだ後



「親の事恨んだ時もあったけど、やっぱりあの時のあたらしはガキ過ぎた」



真っ赤になった亜矢夏の眼を

これまた真っ赤に腫れた眼で見た



浅はかだよね、自惚れてたと鼻を啜りながた言った



「産んでからどうにかなったかもしれない。けど産んだからといって幸せになるとも限らないし産まなかったから後悔するとも限らないじゃん」



私はコクンと頷いた



「あたしは産まなくて良かったって思ってる、だけど・・・・」



亜矢夏は瞼を閉じて



「小さな命を、まだこの世に誕生する前だったけど、小さな小さな命を・・・あたしは大切に出来なかった」




また1筋

光るものが亜矢夏の頬を伝った
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